オリエンテーリング雑記

オリエンテーリングについて何か書きます。

JOAの競技規則改正、何が変わったのかまとめた - ガイドライン編

r1t0orienteering.hatenablog.com

この記事のガイドライン編になります。

諸々の説明は前回の記事をお読みください。

1. 定義

☆ 1.2 関連規則類

1.2 関連規則類には、以下のものがある。
(略)
『日本ランキング規則』
『日本ランキング対象大会(フォレスト・スプリント)運用ガイドライン

このほか、「競技規則」、「関連規則類」および本ガイドラインにしたがって、実施基準を設けることがある。競技者および運営にかかわる者は、これらを熟知していなければならない。

日本ランキング関連規則の追加ですね。

☆ 1.4 競技の種別

競技の種別として、ロングディスタンス、ミドルディスタンスおよびスプリント競技が定義されている。各競技種別によってその概念が異なることに留意しなければならない。(付表「オリエンテーリングの競技形式」を参照)

中黒が入りました。 同様の修正はこれ以降扱いません。

☆ 1.7 ランキング対象大会の定義

1.7 ランキング対象大会は、競技者の実力を評価するための大会である。『日本ランキング規則』にしたがって開催する。

ランキング大会の位置づけをする規約が追加されました。

☆ 1.8 エリートクラス出場資格と年齢別ランキングの対象大会

1.8 全日本大会、公認大会およびランキング対象大会の成績は、全日本大会のエリートクラス出場資格および年齢別ランキングの対象となる。(全日本大会の成績は翌年または別の競技種目の資格対象となるという意味である。)

日本ランキング関係の更新シリーズ。

3. 競技会の開催

☆3.3 ランキング対象大会

全日本大会委員会またはスプリント委員会が指定する。

日本ランキング関係の更新がいっぱいです。

6. 競技会についての情報

☆☆ 6.1 ブリテン1(開催予告)

6.1 ・参加者の便宜を図るとともに同日に競技会が重複することを避けるため、開催予告は可能な限り早く行うことが望ましい

強い表現になりました。早ければ早いほど良いのはそう。

☆☆ 6.3 ブリテン 3(プログラム)

* ブリテン 3 は、イベントアドバイザーの承認が必要である。 * ブリテン 3 は参加者が最終的に得られる事前情報である。ブリテン 3 には、競技規則 6.5 項で定める項目に加えて必要な情報を、参加者の立場に立って盛り込まなければならない。ブリテン 3は希望する申込者への送付のほかに、Web サイト等により公表することが望ましい

競技規則でも変わっていましたが、郵送についての記載が削除され、また少し強い表現になりました。

9. スタート・リスト

☆☆☆☆☆ 9.3 スタート順

(略)
・スタート順の決定にあたっては、同一クラブに所属する競技者が同一コースに続いてスタートしないことが望ましい。もし同一クラブの競技者が続いた場合、前後の競技者を入れ替えることで行う。それでも続く場合は、さらにその前後の競技者と入れ替える。 (略)

同一所属の連続を避ける規則が削除されました。IOFのWOC/JWOC/WCup用の規則では連盟(= 国)の連続を禁止しているので、国対抗ならまだしも地域クラブレベルであれば大きな影響はないという判断だと思います。

個人的には所属が複数あると大変になったり、意図的に空欄にされたら意味なくないか?とか思ってたので良変更だと思います。ただインカレやそのセレクションといった大会ではやった方がいいような気もします。

11. テレイン

☆☆☆11.1 テレインのクローズ時期

11.1 大会開催決定後は、大会当日まで可能な限り早くテレインをクローズすることが望ましい。過去のテレインを使用する場合、一定の期間を空けることが望ましい。そうでない場合は、前回とコース設定が類似しないようにする。

開催決定したら急いでクローズかけてね、という規則になりました。

12. 地図

☆☆☆12.3 コース印刷

ちょっとここだけ今までの記法だと分かりづらいので、新旧両方並べることにします。

  • スプリント競技の地図では、特徴物の中心以外の位置にコントロールが設置されている場合、特 徴物の記号の中心から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記する。

  • 特徴物のどちら側にコントロールが置かれているかを地図上でより強調することが有益である場合、 特徴物の記号の中心とコントロール円の中心を現地距離以上に離して表記してもよい。(特に スプリント競技で線状特徴物にコントロールを置く場合)

新  

  • スプリント競技の地図で、線状特徴物の中心以外の位置にコントロールが設置されている場合、 記号の中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記してもよい。(特に通行不能の線状特徴物の片側にコントロールを置く場合に推奨される。)

  • 特徴物のどちら側にコントロールが置かれているかを地図上でより強調することが有益である場合、特徴物の記号の中心とコントロール円の中心を現地距離以上に離して表記してもよい。

まず、ここの2つの項目はそれぞれ「線状特徴物のコントロール」「任意の特徴物のコントロール」に対して言及しているのですが、そもそもこの項目の順番が入れ替わってますね。
そして、スプリント競技では必ず中心を離すという規則は、やってもいいよ、という規則に変わりました。
実運用上は今までとそんなに変わらない気はしますが、いやこれ難しくね……?ということでちょっと図も合わせてまとめます。

まず1文目。
「スプリント競技の地図で、線状特徴物の中心以外の位置にコントロールが設置されている場合、記号の中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記してもよい」から行きましょう。
線状特徴物を細長い長方形ととらえるならば、その特徴物の中心は「長辺の中心と短辺の中心の交点」と考えるのが自然だと思います。たぶん実際の記号でやってみるとこんな感じ。

線状特徴物の中心

このうち、土塁と水系は置けそうですが、通行不能柵は柵の上に置くことになっちゃうのでダメですね。
中心に置けないため、設置位置をずらさないといけません。今回は、柵の西側ということにしましょう。
左が柵の西側すぐそば、右が「中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記」の例として、柵から4 m(地図上で1 mm)離した場所に置いた場合です。

離してみた図

いや、わからん…… 少なくともスプリント中には絶対わからん……意味ないやん……

と思うじゃないですか。ここで落とし穴があるんです。
この文章を読む限りだと、「線状特徴物は基本的に記号の中心線上に置く」って読めるんですが、ISSprOMの703「コントロール位置」を見てみると……

ISSprOM:(前略)円の中心は特徴物の正確な位置を示す。 (後略)

とあるんですね~~~~ これをもとに考えると、コントロール円の中心は柵の記号内部の西側ギリギリの点になると解釈できる気がします。
この解釈でいくと、柵の東側すぐそばと、柵から4 m離した場所に置いた時の表記は以下のようになります。

ISSprOMの解釈

オッなんかそれっぽいんじゃないか? これなら西側って読めそうっちゃ読めそうですよね。
こっちの方が見やすいし、目的に合致している気はするのですが、ガイドラインの方の文章と一致しなくて困り太郎という感じです。
有識者~~~たすけて~~~~~~

ということで2文目に行こうと思います。
まずこの文章は任意の特徴物に対しての文ですので、ISOMとISSprOMの場合で若干対応が異なりそうです。

ISOM:点状特徴物の場合、円の中心は記号の中心に配置されなければならない。線状あるいは面状特徴物には、円の中心はコントロールがおかれた位置の正確な場所を示す。
ISSprOM:円の中心は特徴物の正確な位置を示す。

となっているので、こぶの南の根元に置く場合はこんな表記になるはずです。

左:ISOM 右:ISSprOM

ここで、ISOMの場合は点状特徴物の場合中心に配置されなければならないになってるんですよね。mustシリーズ君久しぶり……
また、線状あるいは面状特徴物の場合、コントロールの正確な位置を示さなければならないので、仮にずらすとそこがコントロールのある正確な位置と誤認されてしまいます。ということは、ISOMの場合よっぽどのことがない限りずらすべきじゃないという解釈になりそうです。

ISSprOMの場合はどうなるかというと、そもそも中心に配置されることはまれで、さらにここからずらしてOK、ということになります。
正直点状特徴物ではそこまで恩恵はなさそうですが、先ほどの柵の例の場合、だいぶ見やすくなります。

左からさらにずらした場合

これならスプリント中でも東西がはっきりわかりますね。

ちょっとここの項目、正しいかわからないので有識者のかたよければご指摘いただけると幸いです。
またこの項目を執筆するにあたり、吉田さんの以下の記事を参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。 o-pinion.seesaa.net

ここまで書いて気が付いたんですけど、この一つ前の項に「コントロールの円の中心は、点状特徴物の場合は記号の中心、線状・面状特徴物の場合はコントロールの置かれた位置とする。」って書いてあるんすね…… 地図規則でも定義されてるのにここでも定義されてるの、どっちを取ればいいか全然わからんになってしまいました。おわりやね。

☆☆ 12.3 印刷時の透明化処理

プリンタ印刷では、透明化処理は以下のように行う: ⁃ 以下の"lower purple"の記号:パープルを黒、緑、茶色の下に来るように色順序を設定する、もしくは透過処理を行い、地図の判読を妨げないようにする スタート(701) コントロール(703) 結合線(705) フィニッシュ(706) 立ち入り禁止の境界線(708) 横断点(710, 710.1) 給水所(713)

以下の”upper purple”の記号:パープルを不透過とし、地図記号の上にくるようにする: 地図配布場所(702) コントロール番号(704) 誘導区間(707) 立ち入り禁止区域(709) 横断区間(710.2) 通過禁止のルート(711) 救護所(712) 特設の建造物もしくは閉鎖区域(714)

ただし、テレインの特徴により、実印刷した地図が見やすくなるように適宜色設定を調整してもよい。

単純に記号の羅列をやめて、地図規則に投げた形ですね。また色設定を見やすくなるようにならいじってもいいよ~ということになりました。

13 コース

☆☆☆☆☆13.2 優勝設定時間

・ロング・ディスタンス競技- M21E 90-100分 88-92分 W21E 70-80分 80-84分

・リレー競技 各走区で最も速い者の合計時間 チームとしての優勝設定時間を以下の基準とにしたがって設定する。

優勝設定時間が変わりました。ロングは男子が短く、女子が長めになりました。 またリレーは各走区の最速タイムではなく、チーム全体の優勝設定になりました。
女子を除けば短くする方向性で、おそらくですが最近のWOCリレーで男子の中位~下位チームがかなり遅くなり、半分Jukola*1みたいになってたりしたのが原因かな……と勝手に思っています。

14 制限されているエリアおよびルート

☆☆☆☆ 14 危険な場所や立入禁止区域の標示

・車の通行する道路への飛び出し、横断箇所には、掲示や標識等で競技者に注意を喚起するとともに、係員を配置することが望ましい。 しなければならない。
・耕作地、民家等の敷地へは立ち入らないように、コース設定上も配慮するとともに、必要に応じて現地に立入禁止のテープや標識で表示する。 競技者が明瞭に判断できないところでは、現地に立入禁止のテープや標識で表示しなければならない。
・特にスプリント競技では、競技者が不注意で立入禁止エリアに入りそうな箇所に、テープや標識を施すことが望ましい。 さなければならない。

mustシリーズ。 スプリント運営は気にすることが多いですね。

16 コントロールの設置

☆☆☆16 同じ特徴物の近接コントロール

「競技規則」16.4 項に加えて、地図上でもテレイン内でも、コントロールの特徴物がはっきりと異なる場合を除いては、コントロールは直線距離で 60m(地図の縮尺が 1:4000 や 1:3000 の場合は 30m)以内に近接して置かれるべきではない。

全部競技規則にお引越ししました。 うれしい!

☆ 16 コントロール保全

紛失の懸念のあるコントロールには、保全措置を施すようにする。

これも競技規則にお引越しです。

21 成績

☆☆☆☆21.1 正規の順位以外の扱い

インターバルスタートの場合、同タイムは同順位とする。マススタートおよびチェイシングスタートの場 合はフィニッシュラインを通過した順が順位となる。競技時間オーバー、コントロール不通過および 途中棄権は失格となり、順位はつかない 順位外となる

リレー競技において、繰上げスタートのあったチームは、正規に継走できたチームの後の順位となる。 また、チームとして競技時間オーバーとなった場合は失格 順位外となる。

失格から順位外ということになりました。

☆☆☆ 21.3 成績表での順位外の扱い

記録の掲載順は順位にしたがい、同順位の場合はスタート順とする。順位のつかない 順位外の競技者の記録は以下のように区別する。 競技者の記録は失格(DISQ)として扱われるが、競技時間オーバー、コントロール不通過者、棄権者を区別してもよい。棄権の扱いは、競技者がフィニッシュにおいてその旨申告した場合とする。
⁃ コントロール不通過
⁃ 競技時間オーバー
⁃ 棄権 競技者がフィニッシュにおいてその旨申告した場合
⁃ 失格(DISQ) 規則違反による場合

また、最後に不出走者(DNS)を掲載する。

順位外の選手はこの4つに分類せよ、ということですね。今まで失格だったのを順位外としたのは、規則違反による失格を明確にしたいというところでしょう。WREとか海外のレースはもうみんなこの表記になってますね。
それぞれEventor上では、
- mispunched
- over max time(タイム表示なし)
- did not finish
- disqualified
という感じで表記されています。

余談ですが、良い感じにぱっと見で伝わる略称とかないですかね?Mulka2でやるにはちょっと長くて……

23 公正な競技

☆☆☆☆ 競技規則違反への罰則

いかなる競技規則でも違反したものは罰則を受けうる。罰則には以下がある。
⁃ タイムペナルティ(タイムの加算)
⁃ 失格
⁃ 一定期間の競技会出場停止

・非常に重大な規則違反があった場合は、倫理規程に基づいて一定期間の競技会の出場停止を科すことがありうる。ドーピング違反は、非常に重大な規則違反に相当する。

罰則の具体的な例示が追加されました。タイム加算OKになったんですね。また、ドーピング違反といった重大な規則違反に対しては競技会の出場停止といった処分ができるようになりました。

気になったこと

付表の中の優勝設定、変わってなさそう……

競技規則とガイドライン通しての感想

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
おわった~~~~~やった~~~~~!!!!!!!
結構色々変わってて、全体的にはIOFに近づけていく感じがして良い改正だと思っています。
コントロール位置の話は統一してほしいけど……

次回はISCDとかそこら辺を書くかもしれないです。対戦よろしくお願いします。

*1:世界最大の7人リレー大会。23:00にスタートする。ヤバすぎ。Jukola Relay 2023: English - YouTube

JOAの競技規則改正、何が変わったのかまとめた - 競技規則編

久々の更新です。Ritoです。

2023/5/20にぬるっと競技規則とガイドラインが改正されたのですが、思ったより知られてないっぽいのと、何が変わったのかまとめてくれ~~という声があったので、ブログにまとめることにしました。原文に当たってほしい気持ちもあるので、このブログと原文のPDFを同時に眺めつつ読むといい感じかなと思います。

規定類 – 日本オリエンテーリング協会
この中にあります。

項目順か重要度順か迷ったのですが、項目順にした上で、変更の重要度を☆で表示する方針にしました。 重要度は、フットOの競技者/運営者目線で僕が独自に付けた指標なので、違和感があったらコメント頂ければと思います。 追加は、削除は赤打ち消し線で表記します。

簡単なまとめ

競技者から見て明確に変わるのは、隣ポとかの場合でも失格にならなくなったことと、順位外の理由の掲示くらいだと思います。
運営者的にはプラスで立入禁止区域の現地での標示の義務が大きな変更点といえそうです。後述しますが、あとは全体的に縛りが強くなったことくらいでしょうか。

全般的な変更

全般的な変更として挙げられるのは以下の3点です。

1. ~する(shall)から~しなければならない(must)への書き換え
2. IOF規則の改正に伴っての改正
3. 日本ランキング発足に伴う改正

1点目は、IOFの規則改正の中でも全体的に変更があったもので、

“shall” changed to “must” throughout

とある通り、多くのshallがmustになりました。おそらくですが、規則から曖昧さを消すことで、運営も競技者もやりやすくするための変更なのかなと思います。

2点目は、IOFが最近規則を結構頻繁に変えておりまして、ここ2年分の変更をまとめて更新した形です。

3点目は、日本ランキングが正式に動き始めたので、定義周りに追加された形です。

1.定義

☆ 1.10 ランキング大会の定義

1.10『日本ランキング規則』にしたがって開催される大会をランキング対象大会という。

日本ランキングの定義がついに盛り込まれました。

☆ 1.11 イベントアドバイザーの定義

1.11 イベントアドバイザーは、全日本大会、公認大会およびランキング対象大会をコントロールするために指名された者をいう。

1.10の追加に合わせて追記された形ですね。EAの範囲が広がって……うれしい! 先日自分もJOAの正EAになったので、ご依頼お待ちしております。

2.総則

☆☆ 2.4 追加規定の掲載

2.4 「競技規則」および追加規定は、すべての競技者、チーム・オフィシャル、およびその他大会組織と関係を持つ者、あるいは競技者と接触する者に適用される。最終のブリテンには、すべての追加規定を掲載する しなければならない。

mustシリーズ最初の登場。より強い縛りになりました。ただ、逸脱事項はあっても追加規定を設ける機会は殆どないのであまり影響はなさそう。

☆2.7 関連規則類の追加

2.7JOA 理事会および所管の委員会は、規則および基準等を別に定めることができる。以下のものがある。これらを総称して「関連規則類」という。
(略)
『日本ランキング規則』

ランキング規則関係ですね。実は9個も関連規則があります。

3.競技会の開催

☆3.4 公認大会の認可取り消し

3.4 もし公認大会の主催者が、「競技規則」、「関連規則類」、イベントアドバイザーの指示、あるいは申請時に提出した事項を守れない場合は、JOA は競技会の認可を取り消すことができる。この場合に主催者は損害賠償を要求することができない。

今までも対象は公認大会のみだったと思われますが、明記されました。

☆3.6 ランキング対象大会の開催

3.6 ランキング対象大会の開催については、『日本ランキング規則』で定める。

日本ランキングシリーズ。

6. 競技会についての情報

☆☆6.1 公式情報の公開

公式の情報は、書面で通知する しなければならない。緊急の場合およびチーム・オフィシャル・ミーティングの質問に応える場合に限り、口頭での通知が認められる。

mustシリーズ。書面をしっかり作る必要があります。

☆☆6.2 ブリテンの公開

6.2 主催者あるいはイベントアドバイザーからの情報は、ブリテンとして公表される。ブリテンは文書またはJOA Web サイトからリンクが貼られる形で公表する。希望する者には文書形式のブリテン3 を送付する。

全日本ではまだ郵送対応してると思いますが、規則からはついに郵送対応についての記載が消えました!!! 時代は電子化や……

☆ 6.7 ブリテンの公開期限

6.7 ブリテン1(開催予告)は競技会の6 カ月前までに公表する。ブリテン2(大会要項)は競技会の2 カ月前までに公表する。ブリテン3(プログラム)は競技会の1 週間前までに公表する。

表記が一文になっただけです。

8. モデルイベント

☆8.1 モデルイベントの開催タイミング

8.1 競技会の最初のレースの前日までに、テレインのタイプ、地図の品質、コントロールの特徴物、コントロールの設置、給水ポイントおよびマークト・ルートについてデモするモデル・イベントを実施することが望ましい。

前日より前にモデル・イベントを開催していいよ~という記述になりました。

9. スタート・リスト

・が入りました。

☆☆ 9.10 マス・スタートのコース振りの秘匿

9.10 マス・スタートでは、複数のコースの組み合わせを用意して各チームに割り当てる。コースの組み合わせおよび割り当ては、最終の競技者がスタートするまで秘密にしておかなければならない

mustシリーズ。今まで通りなので影響はほぼナシ。

11. テレイン

☆☆ 11.4 地権者・管理者からの許可

11.4 立入禁止となっているエリアに入る必要がある場合は、主催者が事前に地権者・管理者などから許 可を得ておく なければならない

mustシリーズ。 元々立入禁止となっているエリアに入るために許可を得るのは社会常識ではある。

☆☆☆ 11.5 権利の尊重

11.5 エリア内では、自然保護、営林、狩猟 等のすべての権利が尊重され なければならない

mustシリーズ。昨今自然保護との共存はオリエンテーリング界でも意識されるようになりましたね。

12. 地図

☆☆☆☆ 12.2 地図の縮尺

12.2 ロング・ディスタンス競技の地図縮尺は1:15000 または(イベントアドバイザーが承認すれば)1:10000 とする。ミドル・ディスタンス競技およびリレーの地図縮尺は1:10000 とする。スプリント競技(スプリントリレーを含む)の地図縮尺は1:4000 とする。

ロングで1:10000の地図を使用することは、EAの承認があれば必要規則の逸脱に当たらなくなりました。
IOFルールだとこの項目ではなく、15.9節にWREやROC(Regional Championships、AsOCとか) 用として記載されています。

13. コース

☆☆ 13.2 コースの水準

13.2 コースの水準は、競技会にふさわしいものとする でなければならない。競技者のナビゲーション技能、集中力、および走る能力が試され なければならない。すべてのコースが様々な範囲のオリエンテーリング技術を要求する されなければならない

mustシリーズ。 全部満たしてたほうが良いのはそう。

☆☆☆☆ 13.6 リレーのパターン振り

13.6 リレー競技では、コントロール順はチームによって別々の並びになるが、全体としては全チームが同じコースを走ることになっていなければならない。テレインとコース・コンセプトによっては、各走区の距離が大きく異なるようにしてもよいが、各走区のトップタイムの合計 優勝設定タイムは規定通りになるようにする。走区の距離が大きく異なる場合、その走区ごとの距離の配列は、全チームで同一でなければならない。

mustシリーズと思わせつつ、リレーの優勝設定が「各走区のトップタイムの合計」から「チーム全体の優勝設定タイム」に変わっているという地味に大きな変更です。まあ各走区に最強選手が来た想定タイムの合計だと、上位はまだしも中位ですらフィニッシュが伸び伸びになりそうなので良い変更な気がします。

☆☆ 13.8 Eクラス男女のコントロール分離

13.8 E クラス(決勝レース)において同時にレースが進行するのであれば、女子のコースと男子のコースで別々のコントロールを使用するのが望ましい。

まるまる削除されました。まあ国内だと死に規則になってたし……

14. 制限されているエリアおよびルート

☆☆14.1 規則や指示の遵守

14.1 環境保護のために定められた規則や、主催者からの関連する指示は、競技会に関わるすべての者が遵守する しなければならない

mustシリーズ。規則や指示は……守ろう!

☆☆☆☆☆ 14.2 立入禁止の記号

14.2 立入禁止または危険なエリア、禁じられているルート、横切ってはいけない線状特徴物などは、地図上で表記する しなければならない必要ならば 競技者が明瞭に判断できないところでは、現地でも標識をつけ なければならない。競技者は、このようなエリア、ルートあるいは以下の記号で記した特徴物に立ち入ったり、その上を通行したり、横切ったりしてはならない。
該当するのは下記の記号である。
ロング、ミドル、リレー
ISOM 520 立入禁止区域
ISOM 708 立入禁止の境界線
ISOM 709 立入禁止区域
ISOM 711 通行禁止のルート
(競技者は通行禁止のルートの上を横断することは許される)
スプリント
ISSprOM 201 通行不能ながけ
ISSprOM 301 通行不能の水域
ISSprOM 307 通行不能の湿地
ISSprOM 410 411 通行不能な植生
ISSprOM 512.1 橋またはトンネルの入口(この特徴物の下を通ることは可能)
ISSprOM 515 通行不能の壁
ISSprOM 518 通行不能の柵または手すり
ISSprOM 520 立入禁止区域
ISSprOM 521 建物
ISSprOM 529 通行不能の目立つ線状特徴物
ISSprOM 708 立入禁止の境界
ISSprOM 709 立入禁止区域
ISSprOM 714 特設の建造物もしくは閉鎖区域

デカ・変更点です。mustシリーズではあるのですが、「競技者が明瞭に判断できない場合、現地に標識を置かなければならない」ということは、自分の解釈としては「レーススピードで判断できない場合、標識をつける」ということになると考えています。そのため特にスプリントでは、花壇や養生している芝生といった一瞬では判断がつかない可能性のある部分には必ず青黄テープを貼る必要があると認識しています。
これはもちろん競技者側から見れば、地図と現地の一致がしやすくなり、また意図せぬ失格を防ぐという意味で良い変更なのですが、運営的には負荷が大きく増える変更といえます。スプリントの運営ではしっかりと気をつける必要がありそうです。
あとTwitterでいつぞやか話題になってましたけど、やっぱりトンネルの入り口の上を飛び越えていいのはヤバかったみたいですね。

☆☆☆ 14.3 誘導や横断点の表示

14.3 ルートの誘導、横断するポイントおよび通行箇所は、地図および現地で明瞭に表示する しなければならない。競技者は、コース途中の誘導箇所は、すべてそれに沿って進 まなければならない

mustシリーズ。 最近は誘導が不明瞭で~という話をあまり聞かなくなりましたね。

15. コントロール位置説明

☆☆15.4 位置説明表の配布

インターバル・スタートの競技では、地図とは別にコントロール位置説明表を、そのコースの競技者にプレ・スタートまたはスタート・レーンで配布する。配布地点より前には公表しない てはならない

mustシリーズ。 昔は事前にデフを公開することもあったらしいですね。

16. コントロールの設置

☆☆☆16.3 特徴物への設置

16.3 フラッグは、コントロール位置説明にしたがって地図で示した特徴物に取り付ける。競技者が記載された場所を視界に捉えたときに、フラッグも見えるように設置する しなければならない

mustシリーズ。なかなか難しいですが、下見で見に行ってこれを実現できるところにコントロールを置くべきなんでしょうね……

☆☆☆16.4 近接コントロールの設置

16.4 地図の縮尺が、1:15000、1:10000 または1:7500 の場合は、コントロール(スタートのコントロール・フラッグを含む)は30m以内に近接して設置しないようにする してはならないコントロールの特徴物が類似している(テレイン内でも地図上でも、明確に異なっていない)場合は、コントロール間の最短直線距離は60m とする。スプリントではもっと短縮してよい。地図の縮尺が1:4000 または1:3000 の場合は、走行距離で25m、直線距離で15m 以上離す を最短とする

mustシリーズですが、今までガイドラインの方にあった「類似特徴物の場合60m離す」というルールが競技規則にお引越ししました。分かりやすくなって個人的に一番の神変更です。

☆ 16.10 コントロール保全

16.10 すべての 安全性に懸念のあるコントロールは、抜き取られたりすることがないように保全措置をとる。

新しい規則になってゆるくなった数少ない規則の一つです。 全部保全措置をとるのは厳しいよね……
ちなみにWOCはすべて保全せよとなっています。さすが。

☆☆☆☆ 16.11 レース中に判明した問題への対処

16.11 レース中に主催者がコントロールやコースの問題(パンチユニットの故障、コントロールユニットの不適切な配置、通路の閉塞など)に気付いたときは、主催者はできるだけ早く問題を修正するために、あらゆる努力を払うべきである。レース終了後、主催者は結果の公平性に対する問題の影響を考慮して、必要な措置を講じなければならない。この措置としては、結果を不成立にすることもありうる。

新たに追加された項目です。これは「対処が早ければ早いほど不成立にしないで済む可能性が上がるので頑張ろうね」的な規則と認識しています。あとは、ミスがあったけどみんな平等だし見なかったフリして放置!とかをさせないため……とか……?

17. パンチング・システム

☆☆☆17.3 競技者のパンチすることへの責任

17.3 競技者は、各コントロールにおいて、提供されているパンチ器具を使って、自分自身のカードにパンチすることに責任を持つ。1 つの機器が故障している、あるいは故障しているように見える場合は、競技者は用意されているバックアップを使用しなければならず、パンチの記録がなければ失格 順位外とする。

パンチミスは失格ではなく順位外ということになりました。詳しくは成績の章で記載されています。

☆☆☆ 17.5 パンチミスの対応

17.5 コントロール・パンチが欠落しているか不明瞭なものがある競技者は、パンチのミスが競技者の過失ではないことが立証できなければ、失格 順位外とする。競技者の過失でなければ、コントロールの係員またはカメラによる確認や、コントロール(パンチ器具)の記録を読み取ってくることで通過証明としてもよい。競技者の過失であればそのような証拠は認められず、競技者を順位外としなければならない。 従来の(接触型)SportIdent、SFR、Learnjoy の場合、以下のようになる。 ・ 競技者のパンチが速すぎてフィードバック・シグナルを受け取れなかった場合は、カードにはパンチの記録がないので、たとえステーションに競技者のカード・ナンバーが記録されているかもしれなくても、競技者は失格 順位外としなければならない。
(後略)

こちらも失格から順位外という表記になっています。

☆☆ 17.6 コントロール不通過/カード紛失の場合

17.6 コントロール・カードの紛失、コントロールの不通過、または誤った順番での通過をした競技者は、失格となる 順位外としなければならない

mustシリーズと、順位外表記への変更です。

18. 服装および器具

☆☆☆☆ 18.2 ナンバーカード

18.2 主催者は競技者にスタートナンバーカードを身に着けることを義務付けてもよい。スタートナンバーカードは、明瞭に見えるように主催者の指示にしたがって装着する。サイズは25×25cm以下で、文字は少なくとも高さ10cmとする。折り曲げたり切ったりしてはならない。

ナンバーカードの使用が主催者に委ねられたのもあるのですが、文字の最小高さの撤廃が大きいです。デジタルなパンチングシステムが一般化したので、ナンバーが遠くから明瞭に見えなくても問題無くなった、ということなのでしょうか。もしくはスポンサーロゴを紙面の中でデカく印刷したいとかもありそうですね。

☆☆☆ 18.4 通信機器の所持

主催者が許可した場合を除き、競技者はプレ・スタート 隔離ゾーン(隔離ゾーンのないときはスタート地区)に入ってからレースをフィニッシュするまでは通信機器(音声/テキストとも) 外部と情報を送受信できる通信機器を使用または携行しない してはならない。 GPS 機能を有するデバイス(時計など)は、以下の条件を満たすものであれば携行してもよい。
・ 地図表示機能と通信機能がない。
GPS データを受信する以外の通信機能がない。
・ ナビゲーション目的では使用しない。

ただし、主催者はそのような器具の使用を特に禁止することもできる。主催者は、競技者にトラッキング・デバイスおよび/またはGPS データ記録装置を携行させてもよい ることができる。

プレ・スタートからという書き方だったのが、隔離所からだめだよ~~という記述になりました。また条件も箇条書きでわかりやすくなっています。

19.スタート

☆19.1 スタート方式

19.1 個人競技は、インターバル・スタートで行う。リレー競技は、マス・スタートで行う。複合レース競技の場合は、最終レースをチェイシング・スタートで行ってもよい。

チェイシングスタートの記述が増えました。

☆☆ 19.5 スタート直後のルート選択の秘匿

19.5 スタートは、後続の競技者や他の者が、地図、コース、ルート選択あるいは最初のコントロールへの方向を見ることができないように設営する しなければならない。必要に応じて、計時を開始するスタートからオリエンテーリングを開始する地点までマークト・ルートにする。

mustシリーズ。

☆☆19.15 隔離ゾーン

19.15 主催者は、スタート前の選手がコースについての情報を得ることを防ぐために隔離ゾーンを設けてもよい。隔離ゾーンは、競技会の主催者によって許可された関係者を除き、その内にいる者は外との通信が禁じられたセキュアなエリアとして定義される。主催者は、選手およびチーム・オフィシャルが隔離ゾーンの中にいなければならない時間を定める。主催者は、隔離ゾーンで待つ選手のための適切な便宜(トイレ・給水・雨除け等)を提供することが望ましい。締切時刻を設けて、それ以降に選手またはチーム・オフィシャルが隔離ゾーンに入ることを禁止してもよい。競技者およびチーム・オフィシャルが隔離ゾーンで通信機器を使うことは許されない。 は、18.4 項で規定されている以外の通信機器を隔離ゾーンに持ち込んではならない。

隔離ゾーンの定義が細かくなりました。また、通信機器を「使ってはならない」から「持ち込んではならない」になり、より厳しくなりました。

20. フィニッシュおよび計時

☆☆ 20.5 フィニッシュタイムの計時方法

20.5 (前略) マス・スタートまたはチェイシング・スタート競技では、着順を明瞭に表すために、結果を0.1 秒単位で表示してもよい。

謎の追加。この次の規則に「計時システムは、同じクラスの競技者の相対的タイムを 0.5 秒以下の誤差で計時できるものを使用する。 」とあるので、0.1秒計時すること自体は求められてない形です。 あくまで"表示"なので、競馬とかである着順判定の写真代わりに出していいよ~ってことなんですかね。
国内で使うとしたらSIACであれば0.1秒計時に対応しているので、リレーの最終走者だけSIAC(差し込み)でやれば……という感じ。あまり現実的じゃ無いですね。

21. 成績

☆☆☆☆☆ 21.1 成績の付け方

21.1 コースを正しく走破した競技者は、成績順に並べて表示される。コースを正しく走破できなかった競技者は、成績の末尾に順位外で理由 (例: ミスパンチ、棄権、失格) とともに掲示される。

順位外の理由を記載する必要が生まれました。今まではDISQ=失格で表記を統一することがほとんどでしたが、失格ではなく順位外とした上で、理由を掲示する必要があります。
IOFの方でも、22年ごろに

“disqualified” changed to “not placed” in cases such as mispunching

という変更がありましたので、これに合わせた形です。
言われてみれば確かに、2022WOCの成績表もmispunchedとかになってましたね。

☆ 21.9 制限時間の超過

制限時間を超過した競技者およびチームには順位がつかない 順位外とする。

表記が変わりました。

☆ 21.9 結果の公表

結果は競技会の当日中にインターネットで公表する。同時にJOA にも電子的手段にて報告する。

削除されました。あまり意識したこと無い規則なので影響はないと思います。

23. 公正な競技

☆ 23.1 オリエンテーリングに関わる人間の振る舞い

オリエンテーリング競技会に関わるすべての者は、公平で誠実に、友情の精神をもって行動する しなければならないスポーツマンらしい態度と友情の精神を持つ。競技者は、他の競技者、オフィシャル、ジャーナリスト、観客および競技エリアの住民に、敬意を わなければならない。競技者はテレインではできる限り静粛にする しなければならない

若干の文章修正と、mustシリーズです。

☆ 23.4 運営者の秘密保持

開催地が公開されるまでは、すべての大会運営関係者は、競技エリアおよびテレインについて厳密に秘密を維持する しなければならない。コースについては厳密に秘密を維持しなければならない。

mustシリーズですね。

☆ 23.7 関係者の移動範囲

チーム・オフィシャル、競技者、メディア取材者および観客は、許可されたエリア内にとどま られなければならない

mustシリーズ2連。

☆ 23.8 競技者以外のテレインでの行動

23.8 コントロールの係員は、競技者を邪魔したり引きとめたり、あるいは何らかの情報を与えることをしないようにする してはならない。静寂にし、目立たない衣類を身につけて、コントロールに近づく競技者の手助けをしないようにしなければならない。このことは、テレイン内にいる他のすべての人、例えばメディア取材者にも当てはまる。

mustシリーズ、この章多いね……

☆ 23.9 競技終了後の競技者

23.9 フィニッシュ・ラインを越えたら、競技者は主催者の許可なく競技テレインに再び立ち入らないようにする ってはならない。棄権する競技者は、ただちにフィニッシュでこれを申告して、地図とコントロール・カードを提出する。棄権した競技者は、競技に影響を与えたり、他の競技者を助けるようなことをしてはならない。

mustシリーズ。

☆☆☆☆ 23.10 規則違反への罰則

23.10 いかなる規則でも違反したり、違反することで利益を得た競技者は、失格となりえる 罰則を受けうる
適用されうる罰則は以下の通りである。
・ マス・スタート形式のレースでジャンプ・スタートした場合のタイム・ペナルティ
・ 失格
・ 一定期間の競技会出場停止(JOA の倫理規程に基づいて処分を受けた場合)

つまるところ、ペナとか競技時間オーバーは順位外で、失格になるのは規則に違反したときだけだよ~ということになりました。 また、マススタートのジャンプスタートは、タイムペナルティで対応してもいいよ、という記述になりました。また競技会出場停止処分という、ドーピングなど重大な規則違反への対応と思しき内容も増えました。

ジャンプスタートは、俗に言うフライングのことです。F1やSUPER GTなどのカーレース界隈でよく使われている言葉な気がします。

☆☆☆ 23.11 主催者および裁定委員の責任

23.11 競技会の主催者、または(提訴があった場合には)裁定委員は、ブリテンでプログラムとして定義されている競技会中において、罰則を課す責任をもつ。非常に重大な規則違反があった場合、JOAの倫理規程に基づく処分の対象となる。

規則違反で有利になったり重大な違反をした選手には責任持って罰則を与えてね、ということだと思います。

27. 上訴

☆27.1 上訴の条件

27.1 裁定委員会がまだ組織されていないか、競技会が終わって裁定委員会が解散していた 既に活動を終了していた場合には、規則違反に対して上訴することができる。裁定委員会の運営に重大な手続き上の瑕疵があった場合に限り、裁定委員会の決定に対して上訴することができる。

若干表現が変わりました。 今のところ国内では上訴の事例がないので、あった場合どうなるか気になるところではあります。

気になったこと

2025年東京デフリンピックにむけて、最近日本デフオリエンテーリング協会(JDOA)が正会員になったのですが、1.6節にあるJOA会員の定義に含まれてないんですよね……まあどこかで更新されるでしょう。たぶん。

ガイドラインはまた後日で……つかれた……

#03_試作品第3号実証実験その2

前回の実験で、割と大丈夫そうだったので実証機として制作していきます。
しっかりと固定した状態での実験も行いました。

天板の接着

 前回外れてしまった天板を接着します。使うのはこちら。 f:id:R1t0:20201217213138j:plain:w300
セメダインのスーパーX超多用途です。とりあえずこれ使っとけば丸い。
こんな感じで接着しました。
f:id:R1t0:20201217213330j:plain:w300
本来はビス止めする予定でしたが、強度的に十分そうなので見送りました。

足の接着

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足も回転しないように同じ接着剤で固定しました。

組み立て

f:id:R1t0:20201217213802j:plain
ぱっと見は前回と変化ないです。
f:id:R1t0:20201217213949j:plain:w300
この部分の接着が難しそうだったので再結束可能なバンドで留めました。正直無くてもタッチフリーなら問題ないと思うので、オプションにするのが良さそう。

実験

 前回とほぼ同条件で実験してみました。

  • 複数人連続によるEMITのパンチングフィニッシュを想定
  • 現地は平ら(トラック上)、20mほど助走してパンチする。
  • 選手担当はM氏→僕→Can☆Do康夫氏。

こちらが実験動画です。

youtu.be

耐久性はもう大丈夫そうなので、次回からは木材の表面処理を行ったり、量産に向けてのマイナーチェンジを行っていきます。

#02_試作品第2号&第3号

試作品第2号と第3号が出来たので紹介します。

試作品第2号

第1号を組み替えただけなので部品等は省略します。

外観

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感想

 かなりいい。フラッグも見えやすいし組み立ても楽。ただちょっと安定感に欠ける感はある。下の方が弱めなので、横のサポート材を下に持っていきたい感じ。

試作品第3号

第2号に短い塩ビを追加してサポート材を下に持ってきたバージョン。

外観

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横にいる選手は身長165cm程。使いやすい高さになったと考える。

感想

 第2号と比べて安定感が飛躍的に上昇した。ひとまずこの仮止め状態で実用実験を行うこととした。

実験の条件は以下の通り。

  • 最終コントロール→フィニッシュ、E-cardによるパンチングフィニッシュを想定。
  • 現地はゆるい下り坂で、選手は30mほど前から助走してパンチする。
  • パンチ台はすべて養生テープでの仮止め。
  • 選手担当はプロラスポゴーラーことCan☆Do康夫氏。

こちらが実験動画になります。

youtu.be

この動画から分かることとして、

  • 木材はビス止めが必要(本固定をすれば問題なさそう)
  • 足が衝撃によって回転している(ジョイント部分を接着剤で固定すればOK)
  • フレーム自体に破損は見られなかった
  • まず間違いなくタッチフリーなら問題なし、パンチする場合も壊しにかからない限り壊れなさそう

と良い結果が得られたため、これを実証機として一旦完成品の状態にすることにしました。 今後は、ビス止めや接着、木材の面取りなどを行う予定です。

#01_試作品第1号

 とりあえず試作品を作りましたので紹介していきます。

塩ビ管を選んだ理由

  • 組み立て式にし、運搬時のサイズを小さくできる
  • 軽く、運ぶのが楽
  • そこまでコストが掛からない
  • 切断して嵌め込むだけなので制作が楽
  • 近くにでかいホームセンターがあって大量の継手が置いてある
  • 昔塩ビ管で工作してたので勝手がわかる

って感じです。早速制作過程を見ていきましょう

試作1号

制作過程

材料一覧

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塩ビ VP管 Φ16mm×2m(328円)×2本
メイン材料です。骨組みをここから切り出していきます。

f:id:R1t0:20201210195018j:plain:w300
塩ビ VP管用継手 Φ16mm T字(58円)×4個、L字(35円)×2個
重要パーツの一つ。これで組み立てます。あと写ってないけどキャップも4個(40×4)ある。

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ファルカタ集積材 600×100×13 298円
ステーションとかを置く木材。かるい。

切断

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こんな感じで、1本は25cm×4と50cm×1に、もう一本は50cm×4に切断します。継手に遊びがあるので大体でOK。

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そしたら、こんな感じで組み立てて完成。木の板はネジ止めの予定だけどとりあえず養生で止めた。

感想

う~~~~~ん、専有面積がでかすぎ!!!!!
 足の長さが大体70cm+遊び3cmで73cmとすると、三角形の底辺の長さは大体1mくらいになる。場所取りすぎ。原因はL字継手。90°では安定感はあるものの幅が広くなりすぎてしまう。どうしたものか…… f:id:R1t0:20201210195108j:plain:w300
ただコンパクトに運搬できるのは想定通り。やったね。

#00_巨人の肩に乗りたい -過去のパンチ台調査-

 突然「アングルじゃないスプリント用パンチ台……作りたくね?」となってしまったので、どうせならとブログに過程を連載していくことにしました。今回は第0回として、過去の大会を見てパンチ台にどのような特徴があるかを検証し、開発の要件定義をしていきたいなと思います。

目次

調査その1 国際大会

 やっぱりあのかっこいい感じのパンチ台といえば国際大会っしょ!
 ということでYouTubeで動画を漁って色々調べました。(動画は権利OKか諸説ありそうなので画像無しです。ごめんなさい。)

WOC

2018 Sprint

 ダークブラウンの木製パンチ台。よく見るSiステーション(BSF8)とピンパンチが置いてある上面パーツはT字になっており、そこに足が付いていて畳めそうな雰囲気。開閉防止用と思われる金具もついてる。2cm幅くらいの紐が2本下に付いていて、これも開閉を防止するものか。足の角度は30°~40°くらいに見える。高さは女子選手の腰ちょい下くらい。

2017 Sprint

 ナチュラルカラーの木製パンチ台。日本では馴染みのないEMIT社のTouch Free Pro(以下TFP)が上面に乗っている。構造はほぼWOC2018と同様。若干柱が太くなっているようにも見える。高さもほぼ同じっぽい。

2016 Sprint

 ブルーの金属製パンチ台。上面は細い四角柱で、カバーらしきものがついてるので多分中空。EMIT TFPが結束バンドで止まってるように見える。角度は30°くらい。かなりしっかりした六角ボルトで止まってるので頑丈そうだが、畳めるようには見えず、ちょっと組み立て分解が大変そう。

2015 Sprint

 ブラックの金属製パンチ台。構造はWOC2016 Sprintと同様。ただちょっと長い。これも日本で馴染みのないSportident社のBS11-BSが2つ乗っている。

JWOC

2019 Sprint

 アングルだった。

2018 Sprint

 ナチュラルカラーの木製パンチ台。上面は平らな板で、BS11-BSとピンパンチがある。角度がやや広く50°~55°くらい。蝶番のような機構は見当たらず、畳めそうに無い。

2017 Sprint Final

 いろんなカラーの木製パンチ台。高さは男子選手の膝下くらいとめちゃくちゃ低い。絶対パンチするとき腰痛めるだろこれ。あと謎に足が八の字に開いている。畳める雰囲気ではない。

2016 Sprint

 ナチュラルカラーの木製パンチ台。これも2017ほどでは無いが足が八の字に開いている。ただ高さは太ももくらいになっている。足に固定ボルトが刺さっているのが見えたので、畳める感じではなさそう。

2015 Sprint

 アングルだった。

World Cup

2019R1 Finland Sprint Relay

 ナチュラルカラーの木製パンチ台。上面に板はなく、フレームの上にEMIT TFPを乗せてる感じ。めちゃ畳めそう。ただやたら低く、Tove選手の膝下くらいっぽい。開閉防止の金具も見当たらない。角度は30°かそれ未満とかなり鋭角。

2019R3 Switzerland Sprint

 アングルとナチュラルカラーの木製パンチ台併用。
 木製パンチ台を近くで見れる場所ないと思ってたら、フィニッシュステージ横に使ってないやつが立て掛けてあった。やったぜ。構造はR1とほぼ同じだが、高さがかなり上がって女子選手の太ももから腰くらいになった。BSF8とピンパンチが上面に乗っている。ステージ横のを見る限り畳めるようだ。開閉防止の金具も上の方に発見できた。角度は35°から40°くらい。

2019Final China Sprint

 ナチュラルカラーの木製パンチ台。上面は平らで、足がくっつくようにその底面に付いている。畳めない風に見えるが、開閉防止用と思われる金具がWOC2018のものより下の方に、更に両側に付いている。角度は30°くらい。BSF8とピンパンチが上面に付いている。

調査その2 インカレスプリント

 やはり国内の動向も調べておきたいということで、映像がアップロードされているインカレスプリントを調査。(Zakioさんいつも動画ありがとうございます)

ICS2020

 木製パンチ台とアングル併用。木製パンチ台は上部に蝶番が付いており畳める。国際大会のものと比べると若干木が細い気がする。高さは男子選手膝上くらいで、開閉防止の金具が付いている。2Lペットボトルの重しが下についているのも特徴的。

ICS2019

 アングルでした。刺さらないところは上部に穴を開けたカラーコーンが使われていそう。

ICS2018

 アングルでした。おそらくサン・スーシさん所有の自立台と思われる。

上記を踏まえた要件定義

 さて、調査はこれくらいにして、実際どんなものを作りたいかを考えていきます。  とりあえずいくつか挙げてみると

  • 容易に運搬可能  よくある木製パンチ台はかさばるため運搬が大変そうです。
  • 材料コスト、制作コストが低い  安さは正義。誰でも作れる状態なら壊れても安心。
  • 倒れにくい  ちょくちょく吹き飛ばされてるのも見かけます。コントロールガードを集めるのも一苦労な日本では、倒れないことはかなり重要そう。
  • 重り不要  重りも無いほうが設営も楽。
  • かっこいい(重要)

 くらいでしょうか。これに合う材料として塩ビ管を思いついたので、次回は塩ビ管を使った試作品をお見せできればと思います。

大学から競技を始めて2年目で運営に回ってみた話

 この記事はオリエンティアAdventcalendarの8日目の記事です。
 色々な大会の運営に顔を出していたら「大学から始めて2年で運営やってるの?」という趣旨の言葉を何度かかけられたので、これは書く価値があるのではと思って書きました。 下手な文章ではありますが、最後までお読みいただけたら幸いです。

(20/03/29更新:Twitterへのリンクを削除しました。)

自己紹介

 鈴木璃土と申します。おそらくは名前を聞いても「誰だよ」という感じだと思いますので、簡単に自己紹介をしたいと思います。

 筑波大学19年度入学の2年生で、関東学連渉外です。身長173cm体重86kg、中学高校は科学部無線工学班という部活に所属してました。大学からオリエンテーリングを始めて、特段取り上げるほどの成績を残さず今に至ります。(アドカレに寄稿されている方の多くがIC/IH/全日本いずれかのエリート経験者でビビり散らかしています)
 関東学連の一部の人には「牛丼を食べるのがやたら早い人」の方が誰だか伝わるかもしれません。  

 ざっくり自己紹介した所で本題に行きましょう。

運営してきた大会

まずは、今までに自分が運営として関わってきた大会を挙げてみます。

  • 第39回筑波大大会(計センスタッフ)
  • いばのこ(茨大と農工大の対抗戦)(計センチーフ)
  • 第34回中高選手権(インターハイ)(計センチーフ)
  • 2020年度全日本ミドル&ロング(計センサブ)
  • 2020インカレスプリント(フィニッシュ・計センサブチーフ)

 これ以外には大学構内での部内向け練習会で計センしたりたまに企画部練(24日の記事をぜひ読んでください!!)を行っています。 おそらくではありますが、大半の大学生が運営すると言えば、大学の名を冠した学生大会か対抗戦、練習会くらいかと思います。 増えても所属している地域クラブの大会になるのかなと。

大会やイベントの運営に関わるのは昔から大好きで、中高大と学園祭実行委員会をやっていたり、部活の練習などを企画したりしていました。同人誌即売会の設営/後片付けのお手伝いもやってたりします。裏方でみんなが楽しそうにしてる姿を見るのが大好きです。

 インターハイと全日本ミドルロングは友人に誘われたのがきっかけです。中高選手権はこの動画を見ていて「現地へ見に行きたい!!!!!!」となっていたので参加した所、いつのまにかパートチーフになってました。 インカレスプリントは後述します。

インカレという"場"

 ちょっと話は逸れますが、インカレの思い出話をしたいと思います。僕が初めてインカレに参加したのは岐阜県中津川市で開催されたインカレスプリント・ロング2019です。筑波ではスプリントで小牧さんが優勝し、ロングで宮本さんが優勝した時ですね。カウントダウンと共にフィニッシュに現れた和奏さん、ロング18番コントロールを探す小牧さんのGPSラッキング、増澤さんのインタビュー、先輩たちの走り、同期の走り……これらすべてが脳裏に焼き付いています。こんなことを言って「自分が努力したわけでもないのに」と言われそうですが、自分の事のように嬉しさや悲しさを感じていました。それほどの熱量がインカレにはありました。

 僕はインカレが大好きです。日々努力してきた全国の大学生オリエンティアたちが一同に集い、全力を尽くして走るあの場所が本当に大好きです。そしてそのインカレで走る選手たちに憧れています。日々ランニングをして体力を付けて、地図読みをして技術力を身に付け、1分1秒を削る戦いを繰り広げる選手のみなさんには尊敬の気持ちでいっぱいです。 これは中高選手権や全日本大会(まだ参加したことはないですが)もそうで、 競技に打ち込んでいる皆さんを本当に尊敬しています。もちろん年単位で準備してきた運営者や一般/併設クラスを走った後全力で応援する方々も同じです。

 インカレの開催が年々難しくなっているということを昨年のインカレロングの際に山川さんが話していて、卒業したら運営たくさんするぞと思っていました。しかし今年に入ってインカレスプリントが中止になり、学生とOBOGさん共催での大会となったとき、インカレという場所を作るお手伝いが少しでも出来るなら、こんなに幸せなことはないと思い運営に参加しました。実際に運営して、インカレの楽しさをより一層感じられましたし、今後もインカレ運営者を学生から募集するのであればスプリントに限らずまたやりたいと思っています。(もちろんOBになってからもやりたいです)

 こう言うとオリエンテーリングをするのが好きじゃないみたいに見えますが、オリエンテーリングも大好きです。群馬での中高選手権運営が終わった後、翌日東北大大会で走ってつくばまでその日のうちに帰るような長距離遠征もしてます。ただ、僕は選手権に出られるほど、自分のための努力を積み重ねられるような人間ではありません。でもほかの選手のためなら少しは努力できる人間だと思っています。なのでインカレや中高選手権、全日本などで選手たちが最高の戦いができるように運営として関わりたいと思っています。それが僕が大好きなオリエンテーリングに、そしてインカレに最も楽しく貢献できる方法だと考えているからです。もちろん運営者としての僕が必要なければ選手の僕として努力できないなりに頑張って、そして楽しんで走ろうと思います。

運営した大会の感想

インターハイ

 計センとしてはEcard故障が多発して大変でしたが、一日で個人戦団体戦をやるというギチギチのスケジュールで大会を無事に終えられてよかったです。運営者有能しかおらん。しかもあのYoutubeでしか見たことがなかったインハイを見れただけでも大満足なのに、高校生男子リレーが2走フィニッシュ時点で3位まで1分差、ビジュアルでもあまり差は開かず着順判定員が準備するという大変熱いレースを目の前で見られて本当に最高でした。今後も運営として関われたらいいなと思っています。

全日本ミドル/ロング

 初めての全日本、初めてのSi運用、初めての二日間大会と僕にとって初めて尽くしの大会でした。ミドルは茨にやられて傷だらけ、ロングは足ガクガクで動けないくらいの状態で計センに来る皆さんが印象的でした。日本最強を決める戦いを目の前で見ることが出来たこと、また運営として関われたことがとても嬉しいです。1日目に不成立が出てしまったことは一運営者として申し訳ない気持ちでいっぱいですが、2日目は無事に終えることが出来てよかったです。

インカレスプリント

 インカレ運営をしたいとは前から思っていましたが、その機会が在学中に来るとは思ってもみませんでした。パートチーフの根本さんが凄い方だったのであまり多くの仕事をしたわけではないですが、実際に選手の皆さんが走っている姿を見た時、「ああ、やっぱり僕はインカレが大好きだ」と思いました。同期がたくさん決勝に進んだのも滅茶苦茶嬉しかったです。ビジュアルで見えるたび心の中で応援してました。そして小牧さんの優勝。もう最高です。
 配信もハウス後泊で青黄ストリーマーをまきまきしながら見て「いや~~~~最高~~~~~」と興奮してました。計センではフィニッシュと同時にSRRドングルで読み取る試みだったり、タッチフリー&走り抜けフィニッシュだったりと初めての経験が多く楽しかったです。大会期間中はいろいろやってて涙が出なかったですが、思い出しながら記事を書いている今涙が出そうです。本当に関われてよかったです。

どの大会も本当に最高の大会で、運営者として関われてとても幸せでした。誘ってくれた、受け入れてくれた皆さん本当にありがとうございました。

最後に

 まだ競技を始めて2年目で薄っぺらく見えるかもしれませんが、これが僕の思いです。今後も運営として大会に関わりつつ、オリエンテーリングを楽しんでいきたいと思っています。今年のICMRも今後のICSもどうなるかわかりませんが、開催できる情勢になることを切に願っています。僕でも協力できることがもしあれば何でもやります。

 また、大会運営にお誘いいただけたらとても嬉しいです。ご連絡お待ちしております。
メールアドレス:s1911126★s.tsukuba.ac.jp (★を@に変えてください)

 最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。感想などあればぜひ伝えて頂けると幸いです。