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この記事のガイドライン編になります。
諸々の説明は前回の記事をお読みください。
- 1. 定義
- 3. 競技会の開催
- 6. 競技会についての情報
- 9. スタート・リスト
- 11. テレイン
- 12. 地図
- 13 コース
- 14 制限されているエリアおよびルート
- 16 コントロールの設置
- 21 成績
- 23 公正な競技
- 気になったこと
- 競技規則とガイドライン通しての感想
1. 定義
☆ 1.2 関連規則類
1.2 関連規則類には、以下のものがある。
(略)
『日本ランキング規則』
『日本ランキング対象大会(フォレスト・スプリント)運用ガイドライン』
このほか、「競技規則」、「関連規則類」および本ガイドラインにしたがって、実施基準を設けることがある。競技者および運営にかかわる者は、これらを熟知していなければならない。
日本ランキング関連規則の追加ですね。
☆ 1.4 競技の種別
競技の種別として、ロング・ディスタンス、ミドル・ディスタンスおよびスプリント競技が定義されている。各競技種別によってその概念が異なることに留意しなければならない。(付表「オリエンテーリングの競技形式」を参照)
中黒が入りました。 同様の修正はこれ以降扱いません。
☆ 1.7 ランキング対象大会の定義
1.7 ランキング対象大会は、競技者の実力を評価するための大会である。『日本ランキング規則』にしたがって開催する。
ランキング大会の位置づけをする規約が追加されました。
☆ 1.8 エリートクラス出場資格と年齢別ランキングの対象大会
1.8 全日本大会、公認大会およびランキング対象大会の成績は、全日本大会のエリートクラス出場資格および年齢別ランキングの対象となる。(全日本大会の成績は翌年または別の競技種目の資格対象となるという意味である。)
日本ランキング関係の更新シリーズ。
3. 競技会の開催
☆3.3 ランキング対象大会
全日本大会委員会またはスプリント委員会が指定する。
日本ランキング関係の更新がいっぱいです。
6. 競技会についての情報
☆☆ 6.1 ブリテン1(開催予告)
6.1 ・参加者の便宜を図るとともに同日に競技会が重複することを避けるため、開催予告は可能な限り早く行うことが望ましい。
強い表現になりました。早ければ早いほど良いのはそう。
☆☆ 6.3 ブリテン 3(プログラム)
* ブリテン 3 は、イベントアドバイザーの承認が必要である。
* ブリテン 3 は参加者が最終的に得られる事前情報である。ブリテン 3 には、競技規則 6.5 項で定める項目に加えて必要な情報を、参加者の立場に立って盛り込まなければならない。ブリテン 3は希望する申込者への送付のほかに、Web サイト等により公表することが望ましい。
競技規則でも変わっていましたが、郵送についての記載が削除され、また少し強い表現になりました。
9. スタート・リスト
☆☆☆☆☆ 9.3 スタート順
(略)
・スタート順の決定にあたっては、同一クラブに所属する競技者が同一コースに続いてスタートしないことが望ましい。もし同一クラブの競技者が続いた場合、前後の競技者を入れ替えることで行う。それでも続く場合は、さらにその前後の競技者と入れ替える。
(略)
同一所属の連続を避ける規則が削除されました。IOFのWOC/JWOC/WCup用の規則では連盟(= 国)の連続を禁止しているので、国対抗ならまだしも地域クラブレベルであれば大きな影響はないという判断だと思います。
個人的には所属が複数あると大変になったり、意図的に空欄にされたら意味なくないか?とか思ってたので良変更だと思います。ただインカレやそのセレクションといった大会ではやった方がいいような気もします。
11. テレイン
☆☆☆11.1 テレインのクローズ時期
11.1 大会開催決定後は、大会当日まで可能な限り早くテレインをクローズすることが望ましい。過去のテレインを使用する場合、一定の期間を空けることが望ましい。そうでない場合は、前回とコース設定が類似しないようにする。
開催決定したら急いでクローズかけてね、という規則になりました。
12. 地図
☆☆☆12.3 コース印刷
ちょっとここだけ今までの記法だと分かりづらいので、新旧両方並べることにします。
旧
新
スプリント競技の地図で、線状特徴物の中心以外の位置にコントロールが設置されている場合、 記号の中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記してもよい。(特に通行不能の線状特徴物の片側にコントロールを置く場合に推奨される。)
特徴物のどちら側にコントロールが置かれているかを地図上でより強調することが有益である場合、特徴物の記号の中心とコントロール円の中心を現地距離以上に離して表記してもよい。
まず、ここの2つの項目はそれぞれ「線状特徴物のコントロール」「任意の特徴物のコントロール」に対して言及しているのですが、そもそもこの項目の順番が入れ替わってますね。
そして、スプリント競技では必ず中心を離すという規則は、やってもいいよ、という規則に変わりました。
実運用上は今までとそんなに変わらない気はしますが、いやこれ難しくね……?ということでちょっと図も合わせてまとめます。
まず1文目。
「スプリント競技の地図で、線状特徴物の中心以外の位置にコントロールが設置されている場合、記号の中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記してもよい」から行きましょう。
線状特徴物を細長い長方形ととらえるならば、その特徴物の中心は「長辺の中心と短辺の中心の交点」と考えるのが自然だと思います。たぶん実際の記号でやってみるとこんな感じ。
このうち、土塁と水系は置けそうですが、通行不能柵は柵の上に置くことになっちゃうのでダメですね。
中心に置けないため、設置位置をずらさないといけません。今回は、柵の西側ということにしましょう。
左が柵の西側すぐそば、右が「中心線から現地と同程度コントロール円の中心を離して表記」の例として、柵から4 m(地図上で1 mm)離した場所に置いた場合です。
いや、わからん…… 少なくともスプリント中には絶対わからん……意味ないやん……
と思うじゃないですか。ここで落とし穴があるんです。
この文章を読む限りだと、「線状特徴物は基本的に記号の中心線上に置く」って読めるんですが、ISSprOMの703「コントロール位置」を見てみると……
ISSprOM:(前略)円の中心は特徴物の正確な位置を示す。 (後略)
とあるんですね~~~~ これをもとに考えると、コントロール円の中心は柵の記号内部の西側ギリギリの点になると解釈できる気がします。
この解釈でいくと、柵の東側すぐそばと、柵から4 m離した場所に置いた時の表記は以下のようになります。
オッなんかそれっぽいんじゃないか? これなら西側って読めそうっちゃ読めそうですよね。
こっちの方が見やすいし、目的に合致している気はするのですが、ガイドラインの方の文章と一致しなくて困り太郎という感じです。
有識者~~~たすけて~~~~~~
ということで2文目に行こうと思います。
まずこの文章は任意の特徴物に対しての文ですので、ISOMとISSprOMの場合で若干対応が異なりそうです。
ISOM:点状特徴物の場合、円の中心は記号の中心に配置されなければならない。線状あるいは面状特徴物には、円の中心はコントロールがおかれた位置の正確な場所を示す。
ISSprOM:円の中心は特徴物の正確な位置を示す。
となっているので、こぶの南の根元に置く場合はこんな表記になるはずです。
ここで、ISOMの場合は点状特徴物の場合中心に配置されなければならないになってるんですよね。mustシリーズ君久しぶり……
また、線状あるいは面状特徴物の場合、コントロールの正確な位置を示さなければならないので、仮にずらすとそこがコントロールのある正確な位置と誤認されてしまいます。ということは、ISOMの場合よっぽどのことがない限りずらすべきじゃないという解釈になりそうです。
ISSprOMの場合はどうなるかというと、そもそも中心に配置されることはまれで、さらにここからずらしてOK、ということになります。
正直点状特徴物ではそこまで恩恵はなさそうですが、先ほどの柵の例の場合、だいぶ見やすくなります。
これならスプリント中でも東西がはっきりわかりますね。
ちょっとここの項目、正しいかわからないので有識者のかたよければご指摘いただけると幸いです。
またこの項目を執筆するにあたり、吉田さんの以下の記事を参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
o-pinion.seesaa.net
ここまで書いて気が付いたんですけど、この一つ前の項に「コントロールの円の中心は、点状特徴物の場合は記号の中心、線状・面状特徴物の場合はコントロールの置かれた位置とする。」って書いてあるんすね…… 地図規則でも定義されてるのにここでも定義されてるの、どっちを取ればいいか全然わからんになってしまいました。おわりやね。
☆☆ 12.3 印刷時の透明化処理
プリンタ印刷では、透明化処理は以下のように行う:
⁃ 以下の"lower purple"の記号:パープルを黒、緑、茶色の下に来るように色順序を設定する、もしくは透過処理を行い、地図の判読を妨げないようにする
スタート(701)
コントロール(703)
結合線(705)
フィニッシュ(706)
立ち入り禁止の境界線(708)
横断点(710, 710.1)
給水所(713)
⁃ 以下の”upper purple”の記号:パープルを不透過とし、地図記号の上にくるようにする:
地図配布場所(702)
コントロール番号(704)
誘導区間(707)
立ち入り禁止区域(709)
横断区間(710.2)
通過禁止のルート(711)
救護所(712)
特設の建造物もしくは閉鎖区域(714)
ただし、テレインの特徴により、実印刷した地図が見やすくなるように適宜色設定を調整してもよい。
単純に記号の羅列をやめて、地図規則に投げた形ですね。また色設定を見やすくなるようにならいじってもいいよ~ということになりました。
13 コース
☆☆☆☆☆13.2 優勝設定時間
・ロング・ディスタンス競技-
M21E 90-100分 88-92分 W21E 70-80分 80-84分
・リレー競技
各走区で最も速い者の合計時間 チームとしての優勝設定時間を以下の基準とにしたがって設定する。
優勝設定時間が変わりました。ロングは男子が短く、女子が長めになりました。 またリレーは各走区の最速タイムではなく、チーム全体の優勝設定になりました。
女子を除けば短くする方向性で、おそらくですが最近のWOCリレーで男子の中位~下位チームがかなり遅くなり、半分Jukola*1みたいになってたりしたのが原因かな……と勝手に思っています。
14 制限されているエリアおよびルート
☆☆☆☆ 14 危険な場所や立入禁止区域の標示
・車の通行する道路への飛び出し、横断箇所には、掲示や標識等で競技者に注意を喚起するとともに、係員を配置することが望ましい。 しなければならない。
・耕作地、民家等の敷地へは立ち入らないように、コース設定上も配慮するとともに、必要に応じて現地に立入禁止のテープや標識で表示する。 競技者が明瞭に判断できないところでは、現地に立入禁止のテープや標識で表示しなければならない。
・特にスプリント競技では、競技者が不注意で立入禁止エリアに入りそうな箇所に、テープや標識を施すことが望ましい。 さなければならない。
mustシリーズ。 スプリント運営は気にすることが多いですね。
16 コントロールの設置
☆☆☆16 同じ特徴物の近接コントロール
「競技規則」16.4 項に加えて、地図上でもテレイン内でも、コントロールの特徴物がはっきりと異なる場合を除いては、コントロールは直線距離で 60m(地図の縮尺が 1:4000 や 1:3000 の場合は 30m)以内に近接して置かれるべきではない。
全部競技規則にお引越ししました。 うれしい!
☆ 16 コントロールの保全
紛失の懸念のあるコントロールには、保全措置を施すようにする。
これも競技規則にお引越しです。
21 成績
☆☆☆☆21.1 正規の順位以外の扱い
インターバルスタートの場合、同タイムは同順位とする。マススタートおよびチェイシングスタートの場
合はフィニッシュラインを通過した順が順位となる。競技時間オーバー、コントロール不通過および
途中棄権は失格となり、順位はつかない 順位外となる。
リレー競技において、繰上げスタートのあったチームは、正規に継走できたチームの後の順位となる。
また、チームとして競技時間オーバーとなった場合は失格 順位外となる。
失格から順位外ということになりました。
☆☆☆ 21.3 成績表での順位外の扱い
記録の掲載順は順位にしたがい、同順位の場合はスタート順とする。順位のつかない 順位外の競技者の記録は以下のように区別する。 競技者の記録は失格(DISQ)として扱われるが、競技時間オーバー、コントロール不通過者、棄権者を区別してもよい。棄権の扱いは、競技者がフィニッシュにおいてその旨申告した場合とする。
⁃ コントロール不通過
⁃ 競技時間オーバー
⁃ 棄権 競技者がフィニッシュにおいてその旨申告した場合
⁃ 失格(DISQ) 規則違反による場合
また、最後に不出走者(DNS)を掲載する。
順位外の選手はこの4つに分類せよ、ということですね。今まで失格だったのを順位外としたのは、規則違反による失格を明確にしたいというところでしょう。WREとか海外のレースはもうみんなこの表記になってますね。
それぞれEventor上では、
- mispunched
- over max time(タイム表示なし)
- did not finish
- disqualified
という感じで表記されています。
余談ですが、良い感じにぱっと見で伝わる略称とかないですかね?Mulka2でやるにはちょっと長くて……
23 公正な競技
☆☆☆☆ 競技規則違反への罰則
いかなる競技規則でも違反したものは罰則を受けうる。罰則には以下がある。
⁃ タイムペナルティ(タイムの加算)
⁃ 失格
⁃ 一定期間の競技会出場停止
・非常に重大な規則違反があった場合は、倫理規程に基づいて一定期間の競技会の出場停止を科すことがありうる。ドーピング違反は、非常に重大な規則違反に相当する。
罰則の具体的な例示が追加されました。タイム加算OKになったんですね。また、ドーピング違反といった重大な規則違反に対しては競技会の出場停止といった処分ができるようになりました。
気になったこと
付表の中の優勝設定、変わってなさそう……
競技規則とガイドライン通しての感想
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
おわった~~~~~やった~~~~~!!!!!!!
結構色々変わってて、全体的にはIOFに近づけていく感じがして良い改正だと思っています。
コントロール位置の話は統一してほしいけど……
次回はISCDとかそこら辺を書くかもしれないです。対戦よろしくお願いします。
*1:世界最大の7人リレー大会。23:00にスタートする。ヤバすぎ。Jukola Relay 2023: English - YouTube